"いつかやる"と"やってみる"。サービスを作ってみて、失敗した話。

人生にはうまくいかないこと、文句を言いたくなることが沢山ある。特にそれが自分ではない誰かの意思決定での失敗だと、”俺/私ならもっとうまくできた”という気持ちを持ったことはないだろうか?今日はそんな気持ちに素直になり、実際やってみたらどうなるかというお話だ。失敗談なので少し照れ臭いが、もし誰かの参考になれば嬉しく思う。



■まずは自分でWebサービス作ってみた

組織というのは非常に面倒でイライラする。上司達のNGを避け、最大公約数的なプロダクトを作るのに本当に飽き飽きした。だから何か自分で作ってみようと思った。そして幸運にも、私には欲しいサービスがあった。自分と同世代で、同じ趣味の人がどんなことをしているか見れるサービスだ。例えばWordPressでWebサービスを作った人が何に悩み、どう進めたか知りたかった。そしてそんな人にこそ、直接、私が困っている部分について聞いてみたかった。だから3行日記を投稿し、かつそれが年齢や趣味から検索でき、お互いにコミュニケーションがとれるサービスを作ってみた。これをサービスAとしよう。


また、私は読書も好きなのだが、本のポイント部分だけまとめたいとも思っていた。電子書籍の使いづらい付箋機能なんかじゃなく、紙の本でも、電子書籍でも統一して管理できる読書メモサービスだ。だからこれも作ってみた。サービスBとしよう。


サービスAに関しては身の回りの人に1週間使ってもらって感想を聞いたりと、デザイン思考的にも進めた。思えばその時から投稿も閲覧もしてくれない人、面白いと言ってくれるが閲覧だけで投稿してくれない人がいたので、このあたりから怪しかった。しかし、いかんせんある程度スケールしないと面白みもないサービスなので、追加で1か月ほど自分だけでも使ってみた。


そして気づいた。これ、あんまり面白くないし便利でもない。



■仮説は証明されなかった。"コト"って、それだけじゃ面白くない

サービスA、Bそれぞれの仮説は以下の通りだ。厳密にはターゲット等もっと細かく最初に整理したのだが、今回は重要な点だけ抜粋する。


Aの仮説:自分に似た人が何をしているか知るのは面白く、興味を引き立て、電車で毎日読みたくなるほど楽しめる。それはテキストだけでも十分に想像できる。なぜなら2chまとめもテキストだけだがとても面白いからだ。


Bの仮説:本には沢山の情報が記載されているが、重要なポイントは限られており、その一部を除いたその他大部分はポイントを覚えづらくする邪魔な存在である。ポイントだけまとめれば忘れづらく、読みやすいため、より記憶に定着するのでとても有意義だ。


ここからが、実際に使ってみての感想だが、まずそれぞれの日記なり、本のポイントの一覧を読むと、脳が不快感を感じた。自分なりに原因を考えてみたが、大きな理由が2つあるように感じた。それはストーリーや流れのない単純な"コト"の羅列は何の意味もなくつまらないという点と、それらが適切に提供されないとむしろ不快感すら覚えるという点だ。



■ストーリーや前後関係といった補足状況がないと辛い

まず最初の原因だが、ストーリーや前後関係といった補足状況がないと面白みもなく、むしろ辛いという点だ。例えば今回急ごしらえで作ったサービスAだと、その人の、人となりがまずわからない。昨日はサーフィンボード買いに行っているのに、今日は家で電子工作をしている。その人自体をより知っていれば違和感がないのかもしれないが、Why?という部分が見えずしっくりこない。そしてその後に波のように押し寄せるのは"だから何?"という無味乾燥な感情だ。


サービスBに関しても同じことが言える。"KGI設定のポイントはxxx,yyy,zzzの3つ"という結論部だけ書いてある。うん、確かに無駄をそぎ落とし文字量も少なく、結論だけなので仮説通りの使い方だ。ただし、なんでその3つが大切なの?というwhyが見えないといまいちしっくりこなくて気持ち悪かった。



■想定していない情報や整理されていない情報は苦痛

もう一つの原因は、想定していない情報や整理されていない情報を見せられるのは苦痛だという点だ。サービスAもBもタグを用いて、趣味や年齢、本の名前等の特定条件のみ表示する検索機能は用意していた。ただしメインページは最新の投稿を一覧で出していた。それがとても気持ち悪かったのは、おそらく情報がぐちゃぐちゃだったからだ。


サービスAでいうと、「電子工作最高!やっぱり休みは家にこもるに限る!」と書いてある投稿の数ミリ下にある、誰か他の人の投稿では「ディズニー💛外に出なきゃ始まらない!親友に感謝!」とか書いてあるのだ。色々見えるのは楽しいのだが、異なる相反する内容を同時に見た際に、それぞれが別の投稿だと脳で理解するのは想像したよりも辛く、そして自分で作ったwebサービスを使わないのに十分なほど不快だった。また、私個人としては同意できる前者の情報は見たいが、後者の考え方はあまり馴染みがなく、例えるならマックで横の席に座った大声で話す他人の話を延々1時間聞かされ続けるのに近い不快感を覚えた。


サービスBに関しても、ばらばらの本のポイントだけランダムに一覧にされた状態を想像してもらえば、それがいかにわかりづらく、目を覆いたくなるかお分かりいただけると思う。そしてなによりの重要なのは、私がそれに対して、実際に作ってみるまで想像できなかったという点である。



■やってみるから腹落ちする。自信がある人ほど実践を

今回の体験から気づいた学びは、自分が2chまとめを見ているときに感じている面白さはその内容自体の羅列にではなく、人と人との会話から生み出されるその場の雰囲気であるという点であった。ここを勘違いし、中身のコンテンツだけ一覧にしようとしていた。そして作ったものはわかりやすくもなく、何より面白くもなかった。

作ったサービスは残念なものだったが、この経験は3つの大切なことを教えてくれた。


まず、何をした、どこに行った、大切なポイントといった"コト"自体にはあまり面白みはないらしい。それはあなたが今日歩いた歩道に落ちている石と等しく、存在するだけでは特に興味も惹かれない。ただその石に躓いて転倒したり、蹴飛ばした先に美しい女性がいて睨み返さりたりした瞬間、記憶に残り意味が生まれるのだ。"誰が"何をした、"なんで"そこに行ったといった部分を切り落とさずに、一連の流れ(Sequence)について大切にすべきだ。


2つめは作ったサービスの改善すべき点である。例えばサービスAに限って言えば、メインページの最新投稿リストを投稿者で絞った表示にすることで多少改善されると思う。またプロフィール機能も充実させるのもいいかもしれない。コメントが肝かもしれないので、それを活発にする施策を打つべきだ。サービスBに関してはそもそものコンセプトから少し考え直すべきだ。もしかしたら撤退すべきかもしれない。しかし早めの撤退も、また無駄なコストを垂れ流す未来の改善といえるのではないだろうか。


そして最後に、私の想像力が思っているよりも豊かでないことを受け入れられた。やってみる前は絶対面白いと思っていたが、自信をもってつくったものが全然面白くないという事実を目の当たりにして、傲慢な私も真摯にこの真実を受け入れられることができた。


100回の愚痴、10回のプレゼンより、1回の実践を。

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