"プレゼンテーション"と"ドキュメンテーション"。一瞬の感動とメッセージの一意性。

"パワポ"と呼ばれるものを皆さんご存知だろうか?


Microsoft社のPowerPointというスライド作成ツールの省略された呼び名である。MacユーザーはKeynoteを使うことも多いかもしれないが、プレゼンテーションの際の資料や、調査結果ををまとめる際に使用する際のツールとして使われることが多い言葉である。本記事ではそのパワポの使い方に関して、具体的な2つ使用シーンを軸にどう付き合っていくべきか書きたいと思う。尚、文中ではパワポを単一のソフトウェアとしての狭義の意味でなく、資料作成ツールとしての意味合いで使用する。

私がコンサルティングファームに入社して、最初に叩き込まれたのがこのツールの使い方であった。最初は中学生のころにアニメーションをたくさん使った資料を作成し、教師に苦笑いされた記憶が呼び起こされた。そして、業務を通じてやはり過度なアニメーションやカラフルなテキストアートを役員説明会の資料で目にしたこともない。

しかし、アニメーションを沢山使った新サービスの説明資料は見たことがある。そしてとても分かりやすかった。つまり、"これはNG"といった絶対的なHow-toなんてものはなく、ポイントは”目的に対してそれが必要か考える”ということが大切であるという点である。



この目的だが、もう少し具体的に考えてみよう。皆さんがパワポと対面する状況は諸々あるだろうが、シンプルに大別すると以下どちらかのケースが多いかと思う。

・プレゼン時の投影資料が必要(=Presentation※プレゼンテーション)

・調査結果をまとめた資料が必要(=Documentation※ドキュメンテーション)

上記二つはどちらもパワポが役に立つが、重要なのは目的が異なった際にパワポの使い方も変わるという点である。少々強引だが、プレゼンテーションとドキュメンテーションの違いを端的に表現するならば以下のようになる。

・Presentationは話を聞いてほしい

・Documentationは資料を見てほしい

この二つは注目してもらいたいものがそもそも違う。そして、仕事柄多くの資料をレビューするのだが、ここがあやふやなまま作成された資料がどうも多いように感じる。この二つは目的が異なるため、違う点が多くあってもよいし、そうあるべきなのだ。



例として、文字量を挙げてみよう。パワポ資料に対する一番多い指摘は「文字が多すぎる、減らせ」という指摘ではないだろうか。とはいえ、減らすと情報量が減り、読んだ人が勘違いしてしまうのでは、、と悩んだ方も多いのではなかろうか。その悩み、真っ当である。もしあなたがDocumentationとして資料をまとめているのであれば。

ドキュメンテーションでは、資料を見てほしい。その特性上、自分が説明できない時でも閲覧される可能性が高い。そしてその場合の資料は、見るだけで正しく意味合いが分かるように書かれているべきである。具体的な例を挙げると、グラフだけのせない、結論を書く、リード文も書く、情報の不足がないように十分に記載する(重くなる場合はAppendixとして最後に残す)あたりが大切である。

リード文で伝えたいことを閲覧者に伝え、それを裏付けするデータや考察を配置し、結論を正しく書くことで意図が伝わる。閲覧者が読むという行為にある程度の労力を割いてくれる想定であれば文字数も多くてもよいし、文字サイズも12 point程度でも許されるだろう。



逆にプレゼンテーションのケースを考えてみよう。プレゼンテーションでは資料を見てもらいたいのではなく、あなたの話を聞いてもらい、魅了したい。だから資料だけで理解されないくらいのほうが丁度いい。人の頭に??が出たあたりで、あなた自身の言葉で、熱量と共にメッセージを伝えるのだ。それは無味乾燥なテキストよりもとても尊く、セクシーだ。

この場合、スライドは補助資料としての役割が目的となる。投影されるなら誰でも読める文字サイズであるべきだ。誰かを眠りにつかせたり、逆にあなたの話そっちのけで読んでもらいたいのでなければ、文字数も多すぎてはいけない。ではどうすればいいのか?大きく結論やメッセージのみ投影すればよい。そうすることであなたの話に紛れ込んだキーワードを聴衆に強く意識づけられる。



特に新人時代にまじめな先輩にパワポを習った人ほど要注意だ。リボンを駆使した素早くすっきりと見せるための配置調整や、リード文で結論を書くことを習ったのではないだろうか?彼らには自信があり、また一部のケースでは正しいため資料を褒められることがあり、それがより彼らを"自称パワポマスター"にしていく。

彼はパワポを習ったのではない。Documentationを習ったのだ。

このようなケースでは、将来Presentationをする場なのに、退屈で、文字が多い説明資料を投影しながらプレゼンすることになりかねない。頭ごなしに"Jobsぶってんじゃないよ!"と部下の素晴らしいプレゼン資料を(親切心から)説明資料にしているケースも目にしたことがある。



まとめよう。別に文字が大きけりゃいいわけじゃない。アニメーションがあったらダメな資料というわけでもないし、リード文で結論を書くことだけが正解じゃない。いや、むしろ時には間違いかもしれない。

正解というのは、目的に即した形式、表現になっているかであり、万の状況があれば万の正解がある。大切なのは自分が知っている方法、慣れ親しんだ形式にとらわれず、常にその資料がどう使われるべきか正面から向き合い、時には勇気をもってそれを形にしてみることなのではないだろうか?



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